2022/07/28 12:06

よくお客様より、洋紙と和紙の違いについてお問い合わせがありますので、
簡単に記述させていただきます。
 洋紙は明治7年以降ヨーロッパから製紙機械が導入され、従来紙よりはるかに生産効率の良い新しい紙が誕生し、品質上の違いも多々あることから、従来の日本の紙と分ける必然性が出てきたことで、別名で管理されることとなったようです。
洋紙はパルプを主原料とし機械で抄く紙を指し、一方靭皮を主原料とする手漉き製法の紙を対語として和紙と名付けと呼ぶようなりました。
その後 和紙も量産化が求められ機械で抄くことが主流となりますが、その原料製法は洋紙とは異なることから機械抄き和紙と呼ばれて現在に至っています。
さて、少し洋紙・和紙の現状を見てみます。
 先ず洋紙ですが、現在日本の洋紙生産量は2020年紙・板紙約2286万t、販売額は2.25兆円の市場です。デジタル媒体の急速な伸びなどで、ピークからすると▲33%減と大幅な市場縮小となっています。この傾向は少子化の日本では続くことは避けられませんが、世界的に見れば洋紙のニーズは
一人当たりの消費の少ないインドや中国の発展などで、大きく伸びることも予想されています。

また、洋紙の種類としては 板紙(段ボール等) 紙(新聞 上質 コート等) 家庭紙(トイレットペーパー等)に大きく区分され、
最近の傾向としては、板紙が物流宅配の伸びなどから比較的堅調に推移するも、紙は新聞、出版を中心に苦戦が続いており、今後は脱プラの代替素材やナノセルロースなど市場に期待が膨らみつつあります。

次に手漉き和紙ですが、こちらは洋紙の誕生以来ずっと厳しい環境が続き、明治34年に製紙戸数は6万8千戸を超えていたものが、近年では200戸数を下回り、年間販売約40億程度の小さな市場となってしまっています。
このままでは、大切な日本文化の礎である和紙を漉く貴重な人々は消えてしまう恐れがあります。
もすでに、楮、トロロアオイなど原料不足や 工具職人の方々も少なくなり、環境は悪くなるばかりです。
これらを食い止めるには、多くの方に暮らしの中の紙を再度見直ししていただき、消費していただくことだと思います。
今、越前、美濃、土佐、伊予など多くの和紙産地では、若い職人方が、斬新な用途を開発、挑戦続け、少しづつ活気が戻ってきており、明るい兆が見えつつあります。
和紙の良さは天然原料で自然に優しい素材、また丈夫で経年劣化が少なく、独特な風合を保ちながら、包む、書く、拭くなど私たちの日常に欠かすことができない用途に広く使われていることです。まだまだ奥深く、新たなパワーで新市場を創造できる余地がたくさんあるのも事実です。

ここまで簡易ご説明いたしましたが、いづれにしても洋紙、和紙いづれも厳しい環境下にありますが、日本の製紙技術は世界TOPレベルにあり
それぞれの持ち味を生かせば、地球環境に合った循環素材としてV字回復も夢ではないかと考えます。その為にも紙を知って、触って、楽しんでいただければ幸いです。

ちょっと一言・・
意外と知られていませんが
濡れても破れない紙、燃えない紙、 溶けてなくなってしまう紙、フードロスで作る紙、破れない紙、光る紙、・・
様々な機能を持った紙が存在します。
少しづつご紹介していきますので お楽しみに!!
 
続く・・